アウトリーチとは、手を差し伸べるなどの意味があります。精神保健福祉の世界では、対象者の生活の場に出向く訪問看護などが必要な人のニーズを見つけたり、実践的な支援を提供する手法のことをアウトリーチ型サービスといいます。この手法を用いた日本のサービスは、往診や訪問看護をはじめ、ヘルパーや相談支援、保健師による訪問などがあります。入院中心の医療から地域ケアへという大きな流れの中で、このアウトリーチ手法を用いたサービスに期待される役割は、精神科の領域においても大きなものです。看護職は、チームの一員として、精神症状や身体症状のアセスメントと支援、服薬行動の支援および薬の効果と副作用のアセスメントなどを行います。加えて、症状や副作用に対する本人の対処能力を高める支援やセルフケアの支援なども行うことになります。さらに、専門性をいかし、療養者の主体的な地域生活を支えると同時に対象者を生活する人として多面的に捉え、生活全般にわたる幅広いかかわりが必要です。
1年以上の長期入院から退院した人や、過去三か月以内に措置入院や医療保護入院を繰り返した人は、精神科重症患者早期集中支援管理料の対象です。精神科医療機関への通院が困難で、障害福祉サービスを利用していないことも要件に加えられています。こうした療養者を、精神保健指定医や精神科の看護師、精神保健福祉士などを中心に支えていくことになるのです。看護師がかかわるのは、週2回以上の精神科訪問看護、指導で週1回以上のカンファレンスへの参加などです。また、個別の支援を通じて地域全体の状況を把握していくことも求められています。